2017年05月29日

子どもって家庭教師でこんなに変わるんです


 先日、高校2年生の教え子の中間テストの一部が返ってきてました。
  
 世界史100点!

 英語84点!

 これらの科目は僕が指導している科目ではありません。

 つまり100%自分で「頑張ろう」と決めて努力して取った点数です。

 それが素晴らしい!

 思えばその子を担当したのは今からちょうど2年前の中3の6月でした。

 その時の彼は英語は中1の基礎から全くわかっていなかったし、
 
 数学に関しては中学校内容はもちろん小学校の分数・小数も危ない感じでした。


 その辺の経緯が2016年2月18日の記事『「先生、僕ゲーム売るわ」中3ゲーム大好き少年がゲーム機を売ろうと思った理由 続編』にこう書いてあります。


 僕が彼を受け持った当初、
 彼は宿題も全然しないし、勉強大嫌い、ゲーム大好きでした。
 そういう生徒に対して親も先生も「今の君のままじゃダメだ」と本人および本人の現状を否定する言動ばかりで関わってしまうため、この子にとって周りの大人は全部敵になってしまっている、それが一番の問題でした。

 教育というのは、親や先生と子どもとの間に「あたたかくて信頼し合える関係」がなくては成立しません。
 何かを教える、何かを伝えるためには太いパイプ(心のつながり)がないと伝えられません。
 心理カウンセリングにおいてもまずクライアントとラポール(心が開かれている信頼関係)がつくれなくてはカウンセリングが出来ないのと同じです。

 ところがA君は周りの大人からは「今のあなたじゃダメ」とず〜っと否定され続け、彼から見れば信頼できる大人は一人もいなかったのです。彼は大人不信になっていました。

 僕が指導において気をつけたのは


 1、彼と彼の話を否定しない。彼の気持ちを理解しようとする。

 2、悪い所ではなく良い所を見る。よい所を誉める。
 
 3、彼と共に考え、彼の立場に立って提案する。

 4、簡単な問題でわかる楽しさを体験してもらう。

 5、雑談も交え、楽しい雰囲気で勉強する。



 そんな指導を2ヶ月ほど続けていると、だんだんと信頼してもらえるようになって彼から色々な思いを聞かせてもらえるようになりました。
 彼も誰か信頼できる人に色々と悩みや不安を相談したかったのだと思います。


 勉強ができないことにコンプレックスを持っていること。
 友達に勉強で馬鹿にされて悔しかったこと。
 学校の授業を聞いても全然わからないこと。
 宿題もしなければと思うけれどまったくわからないこと。
 ある専門職公務員になりたい夢があること。
 そのためには学力をつけなければならないけれど不安なこと・・。


 それら1つ1つに共感し、理解していく。
 そうすると不思議なほど僕には素直な態度で接してくれるようになりました。
 何でも相談してくれるようになり、アドバイスもちゃんと聞いてくれるようになりました。

 「先生、僕、勉強しようと思うんやけれど、なかなか出来ない。
  ついゲームの方にいってしまう。
  どうしたらええやろ?」

 そんな相談もしてくれるようになりました。

 「みんな、そうなんちゃうかなあ・・。みんな一緒やで。
  ゲームあったらそっちの方にいってしまうのは。
  先生が前に教えてた子でな、ゲーム機売った子があったで。
  あったらゲームしてまうから。」

 そんなやりとりを去年の秋くらいから何回か繰り返していました。

 そして僕はよく彼にこう言ってました。

 「君は良い所いっぱいあるで。
  君はすごく素直やろ。素直な子は伸びるよ。絶対伸びる!
  そして夢があるやろ。
  そんな具体的ではっきりした夢持った君は
  本当に素晴らしいと思うよ。」
  
 そう言うと少し照れながらも、
 先生、俺、がんばるわ、絶対◯◯になるわ、
 なんかなれそうな気がしてきたわ。
 とやる気をみせてくれていました。

 そして1週間とはいえ自分でゲームを断って、見事志望校に合格した彼の口から出たのがあの言葉でした。

 「先生、僕ゲーム売るわ。」

 これは誰かが強制して言わせた言葉ではなく、
 彼自身がそうしようと決意して生まれた言葉です。

 教育とは矯正することではありません。
 子どもの中にある善性、意欲、向上心、能力を引き出すことが教育です。
 そしてそれを引き出すためには
 子どもとの間に太い心のパイプ、心理学用語でいうところのラポール、信頼関係がなければ何も教えることはできないし、何も伝えることはできません。

 子どもは自らの力で善くなっていく力、「自己成長力」を持っています。
 そしてその「自己成長力」が発揮されるような関係、あたたかくて信頼し合える関係、それを子どもとの間に築くこと。
 これは親にとっても先生にとっても一番大切なことであるように思います。



 この記事を書いてから1年と3ヶ月。
 彼は少しずつ自分から勉強するようになり、
 少しずつ学力をつけ、
 少しずつ順位を上げていきました。
 通知簿も見違えるほど良くなり、
 性格も見違えるほど明るくプラス思考になりました。
 
 (その辺の経緯も過去のブログに書いています)
 http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/article/442420917.html

 一番変わったのはマイナス思考からプラス思考になったことかもしれません。
 去年、彼が高校1年生の頃、
 学校がイヤで、同級生がイヤで、
 何もかもイヤに感じていた時、
 僕はこんな風にアドバイスしていました。

 「物事には何でもプラス面とマイナス面がある。
  マイナス面を見ればイヤにもなるし、不満にも思うし、面白んないし、疲れる。
  逆にプラス面を見ればありがたく思うし、感謝するし、楽しいし、頑張ろうと思う。
  どっちを見てもいいねんで。
  マイナス面ばっかり見て嘆いてもいいし、
  プラス面を見るように心がけて楽しく生きてもいい。

  君にイヤなことばかり言う奴もな、
  「すごい勉強になるわ」て
  褒めてみたらどうやろ?
  そいつがどんな反応するか面白いやん。

  この場面ではこいつ絶対こう言うわ、て予想してみたり。
  そのイヤな奴で遊んでみる、心の中で。
  そうしたらちょっと楽しめるかもよ。

  なんでもそうやけど自分次第やねん。
  面白くない、嫌い、て決めつけてしまわずに
  ああ、ここいいなあ、ここ面白いなあ、と
  いいとこ、面白いとこを自分で見つけ出したらいいんちゃう?」


 はじめはそれでも「先生、やっぱり面白くないわ。無理やわ。」て言ってたんですが、僕が相談にのっているうちに「こんな風にいいように思うようにしてるねん」というようになってきて今ではすっかりプラス思考になって、
 「先生、マイナス思考は疲れるなあ。マイナス思考の奴おるけど、しんどいやろなあって思うわ。」と言えるようになりました。

 彼がこうして僕のアドバイスを聞き入れてくれるのは、
 僕との間に信頼関係があるからだと感じています。

 そういう信頼関係を生徒との間に築くことができれば
 あとは子ども自らの力で良くなっていきます。

 でもその信頼関係を築くためには
 その子がどんな姿を現していようと
 その子の良さ、素晴らしさを見つけ出し、
 どんな時もその子の素晴らしさを信じ抜く気持ちが大切です。

 それは子どもの自己成長力を信頼するということです。
 

 
 

 
  
posted by 長谷川 at 18:30| Comment(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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