2017年07月12日

第45回ペアレントセミナー「コミュニケーション能力の育て方」 ありがとう<後編>


 前編からお読みになりたい方はこちら→http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/article/451678877.html


 子どものコミュニケーション能力と家庭環境は非常に密接に関わっています。

 それでは家族内の人間関係がどうしてうまく行きづらいのかを具体例をもとに見ていきます。

 これは20代の拒食症の女性Aさんと心理カウンセラーの会話です。

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 Aさん「母は私のことなんて何もわかろうとしてくれないんです。」
 
 カウンセラー「どうしてそう思うんですか?」

 Aさん「昨日、母とスーパーに行ったとき勇気を振り絞って『今日は魚に挑戦してみようかな』て言ったんです。そうしたら母はそこにあった一番大きい魚をポーンってカゴに放り込んだんです。私恐ろしくて体が震えてきました。それなのに母は『さあ、ぐずぐずしないで、帰りましょ』て言ったんです。」

 カウンセラー「お母さんは、あなたが魚を食べるということがどんなに勇気がいることかって分かっていらしたんですか?」

 Aさん「それは絶対わかっていたと思います。」

 カウンセラー「そう言葉で伝えたんですか?」

 Aさん「言葉では言ってませんが、それは今までの様子からわかることでしょう。」


   <わかっているはずだという前提>
 これが家庭内コミュニケーションがうまくいかない原因の一つです。言葉でちゃんと伝えないと「自分の思い」は伝わりません。

 
 カウンセラー「大きい魚にショックを受けられたんですよね。それは言葉に出して抗議されたんですか?」

 Aさん「いいえ・・、言葉では・・。でも体が震えていたし、涙も出てきましたし・・その場から私一歩も動こうとしませんでした。それで私の抗議の気持ちは伝わったはずです。」


   <態度による意思表示>
 言葉にして伝えないことには何に対して怒っているのかは相手に伝わりません。そこから誤解や気持ちのすれ違いが生まれます。
 

 カウンセラー「その場では何も言わなかったんですか?」

 Aさん「いえ、母に『そんなに早く帰りたいならお母さんだけ先に帰ったら』と・・」


   <間接的な言い回し>
 自分の気持ちを直接的にはっきりと伝えることが大切です。間接的な言い方では相手にはちゃんと伝わりません。


 カウンセラー「そう言ったらお母さんはなんとおっしゃったんですか?」

 Aさん「なんで不機嫌になってるの?・・って。」

 カウンセラー「それでちゃんと理由を言われたんですか?」

 Aさん「いいえ、その一言で力が抜けてしまって・・。もうこの人には何を説明しても無駄だってそう思いました。それからは口をきいていません。」


   <沈黙による拒絶>
 これが一番問題です。夫婦喧嘩の後によくやりがちですが、これは一番やってはいけないことです。


 カウンセラー「何を説明しても無駄だって言う前に、まだ一言も言葉では説明されていないと思うのですが・・。」

 Aさん「でも、母は初めから私の気持ちを理解しようなんて気がないんです。」

 カウンセラー「どうしてそう言い切れるんですか?」

 Aさん「そうに決まっています。」


   <「きっとそうだ」という強い思い込み>
 勝手に相手の気持ちを「こうだ」と決めつけてしまうことはよくあることです。でも本当にそうでしょうか。


 この後、Aさんはカウンセラーの助言に従ってお母さんにその時の気持ちを手紙に書いて渡されました。
 お母さんはその手紙を読まれた後
 「魚を食べるって言ってくれてとても嬉しかったんだけど、あまりはしゃぐとプレッシャーになると思って、
 できるだけ自然に振舞おうとして目の前にあった魚を手にとってカゴに放り込んでしまった。
 気が変わらないうちに早くその場から離れないと「今日はやめとく」て言い出されないか心配で『ぐずぐずしないで』と言ってしまった。」
 とお話しされたそうです。

 
 こうして見ていきますと言葉にして伝えるべきところを言葉にしてなかったり、態度でわからそうとしてみたり・・。
 また、自分の思い込みから相手のことを決めつけてみたり・・。これも言葉でコミュニケーションをとるようにすれば誤解や行き違いも防げるはずです。
 もし思い当たることがあれば、今日からは言葉で素直に自分の思いを伝えるようにし、また相手のことも決めつけたりせず直接その気持ちを聞くように心がけましょう。


 そのあと過食症の女性の方が書かれた「みずいろのこびん」という絵本を読みました。

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 そのお話の主人公の男の子は、本当の気持ちを心の中の「みずいろのこびん」に押し込んで、友達の前でもお母さんの前でもいい子を演じてしまいます。そして心が苦しくなったら手当たり次第に食べ物を食べてしまいます。食べている間は嫌なことを忘れられるからです。
 絵本の中でその気持ちがこんな風に表現されています。

 僕は僕の気持ちより、みんなが僕のことをどう思っているのかの方が大切なんだ。

 そして最後は自分の心の叫びとしてこんな言葉で締めくくられています。

 僕は僕のままでいいんだ。
 僕は僕の気持ちのままでいたい。



 絵本を読んだ後、いきものがかりの「なくもんか」を聞いてもらいました。

 


 みなさん、心理的な健康ってどうやって測るかご存知ですか?
 心理的な健康度は「自己一致」度で測ります。

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 自己には、あるがままの自分<現実自己>と、あるべき自分<理想自己>と、見せている自分<演出自己>があります。

 <理想自己>や<演出自己>は普通、<現実自己>から少しずれているのですが、そのギャップがあまりにも大きくなりすぎると心が病んでしまいます。

 つまり自分に対する不満が大き過ぎたり、自分が大キライであったり、自分の本音とは違う態度をとることが常態化してしまったりすると心理的には病む方向に行きます。

 逆にそのままの自分でいることに恐れがなく、ありのままの自分に満足し、自分のことが好きだと思えていれば心理的には健康だということです。

 社会に生きている以上、多少は<理想自己>の仮面も<演出自己>の仮面も必要でしょう。
 問題は<現実自己>とのギャップの度合いです。
 それが開きすぎると心の中に葛藤が起こります。
 あるべき自分になれない自分を責めたりして心が苦しくなります。
 そして心が疲れてきます。

 では、どうすればいいのか?

 <理想自己>や<演出自己>をやめる方向に持って行く。
 
 どのようにして?

 まずは「人に認められようとすることをやめる」ことが大事です。
 何かを決断する時、Aは本当に自分がしたいこと、Bは世間から良いとされていることがあるとしたら、Aを積極的に選ぶようにするということです。人の目を気にせず、自分のやりたいこと好きなことを優先して生きるということです。

 もう一つは「あるがままの自分はバレていることを自覚してフリをしない」ことです。
 普通のフリ、いい人のフリ、幸せなフリ、そんなフリをしないということです。
 そんフリしたって無駄なんです。周りの人には全部バレているのです。

 そうして心の葛藤が止めば、そこから人間的な成長が始まります。
 それまでは心のエネルギーが葛藤に浪費されていたけれど、葛藤が止めば心のエネルギーは人間的成長へと向かいます。

 人間的成長とは・・いろんな角度からものが見れるようになり、いろんな人の思いが理解できるようになり、いろんなことを受け入れられるようになります。つまり寛容になります。また、小さなことや当たり前のことにも感謝できるようになります。より幸せが感じられるようになります。成長すればするほど謙虚になって人や出来事から学ぼうとするようになります。結果さらに人間的に成長します。まとめますと「寛容」「感謝」「謙虚」「学ぶ姿勢」がより大きく、より深くなるということです。(あくまでも私の個人的見解です)
 

 講義の最後にいきものがかりの「なくもんか」の曲に乗せてお一人おひとりそれぞれ違う詩をプレゼントしました。

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 日曜日にも関わらず、ペアレントセミナーに参加してくださってありがとうございます。
 また次回ペアレントセミナーでお会い出来ることを楽しみにしています。

 次回ペアレントセミナーは10月1日(日)午後2時20分〜4時です。
 



posted by 長谷川 at 13:50| Comment(0) | 講演・セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする